石垣島のことがどうもうまく表現できそうになく、長らく投稿が空いてしまい失礼しました。このことはまた改めて、石垣の振り返りとしてお話できればと思います。
石垣島の陸上自衛隊配備について。東京にいて、ほとんどその情報に触れることはなく、4月にやって来た時点で現状がよくわかっていませんでした。仕事のため毎日通う市街地の方では、島内の話題としてまるで一番遠いことのような反応がよく返って来て、「どこかよくわからないけど、もう出来てるんじゃなかったっけ?」と言う方もいました。
街は海外からの大型船が寄港し、新空港の影響などもあって、まさに「観光バブル」といった状態。観光向けの店の多くが本土資本で、その移住者や、配属人数が増えた海上保安庁の住居の借り上げなどで賃貸物件の稼働率は99,7%(2017年のデータ)という現状です。街中のあちこちでは慌ただしくマンション等が建設されていきます。
けれどその賑やかな街は地図を広げてもわかるように南側の一部。たまに遠出をすると、どこまでも豊かな緑が茂り、風に吹かれて、森山良子さんの歌じゃないけど「ざわわ、ざわわ」と草木が揺れています。空は広く、晴れの日はびっくりするほど晴れ、雨の日にはシャワーみたいに雨が降ります。
石垣には沖縄県内一の高さを誇る、於茂登岳があります。写真奥の方がその山です。その手前麓の一帯が、平得大俣。陸上自衛隊配備の予定地です。撮影は2018年9月30日、ここにはまだ何もできていません。
石垣駐屯地の予定面積は46ヘクタール、東京ドーム約10倍の面積です。配属予定は500〜600人。石垣市の中山義隆市長は7月18日に受け入れを正式に表明。ここで「配備計画は国の専権事項なので受け入れないという判断は基本的にない」と発言しています。
この地域には、賛成の旗も、反対の旗も立っています。一方で地域のどの人がどのような本心なのか、土地を売却したのかどうかなどもわからず、これまでになかった距離を生んでしまいました。
基地予定地の境界線のすぐ外で農業を営む方に、お話を伺うことができました。目の前の風景が大きく変わろうとしているのに、その方は非常に落ち着いた様子で語られました。
「反対の声を上げても基地はできるでしょう。(市議会議員選挙の)投票には行きますが、自分の1票で何かを変えられるとは思っていません。市長は国に従うと言っている。本来は市民の声を国に繋ぐ立場だと思いますが」
ー島民の関心の低さをどのように感じますか?
「それを責めようとは思いません。自分だって隣に基地が出来るのでなければ無関心のままだったでしょう」
ー基地が出来たらどのような生活の変化が起こるでしょう?
「何も変わりません。今まで通りパイナップルを育てます」
ー環境の変化で農作物に影響があるかもしれません。
「あり得るでしょうが、今考えても仕方ないことですから」
周辺には「経済効果を期待する」と遠慮がちな声で賛成の意志を示した方もいたし、反対にも賛成にも様々な理由がある。何が正しいのか、それはよくわからない。
ただ、この人の声を伝えなければならないと思いました。
そしてもう一人、境界線の内側に大事な農園を持つ方にお話を伺っています。動画でお伝えできるまで少しお時間をいただきますが、大切なメッセージをお伝えしたいと思います。
*下記の写真は、石垣の人々の生活や農業を支える水源地としての於茂登について学ぶツアーの際のものです。